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ピアジェ理論と教育改革日本ピアジェ会|ピアジェ理論|幼児教育|創造的教育|能動的記憶|ぺたぺたシール|児童心理学

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 自由保育論をとなえながら、「学習は小学校からでよいので文字や数などを教えてはいけない。一斉保育はいけない。論理性がない子供に知的教育などとんでもない、情緒教育が大切だ」などと、放任教育がまかり通ってきました。

 このような世界観に対してピアジェ博士は、知性などいきなり生まれるものではなく、生まれてこの方積み重ねてきた知能の働きの結果、知性が生まれるのであって、知能の働きと知性の関係は相互に依存し合っているものである、として、0歳から知能の発達を世界で初めて明らかにしたのです。

ピアジェ理論による知能の発達段階(6 段階で紹介しているが、ここでは一般化している 4 段階で示す)

● 1 段階:感覚運動的知能の段階 0 歳~2 歳

● 2 段階:前操作的知能の段階 2 歳~7 歳

  • 3~4歳頃の子供は、色や形などの違いに気づかず移動させる。
  • 4~5歳頃の子供は物の特徴などに気づき始める。
  • 物の特徴の共通性に関わらず、ラインに沿って並べる。
  • サイズや種類、系列に基づいて分けて並べる。

● 3 段階:具体的知能の操作段階 7 歳~ 11 歳

● 4 段階:命題的知能の操作段階 11 歳~ 15 歳

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このとき日本の教育の流れが大転換し始める日本ピアジェ会|ピアジェ理論|幼児教育|創造的教育|能動的記憶|ぺたぺたシール|児童心理学

 1990年には幼稚園教育要領が改訂されて、過去に解き明かされた理論や文化をそのまま記憶に頼って伝えていくことが教育であるという視点から、180度逆転して教育を受ける幼児や児童、学生から見た視点に立ち、幼稚園では「教師は幼児とともによりよい環境づくりを創造するようにつとめること」と、その総論にうたい、幼児の主体的活動を促すとか、幼児の自発的な活動としての遊びは心身の調和のとれた発達の基礎を培う、などのピアジェ理論が入りました。

 博士が常に言っていたことは「発達段階の 4 に示したように 11歳になったら命題的知能の発達段階に入るのだから課題を自分で探して、自分で考える学習をすべきだ」と主張してきましたが、2002年の教育改革の小学校の総合学習に「課題を考えて解決する教育」が入ってきました。

 21世紀初めは、幼児から学生の教育までこの大きな変化を達成しなければならない時であり、このように考えていくと博士の理論が世界の教育に与えた影響は計り知れないものがあるのです。

「見かけ」の教育から「ほんまもん」の教育へ日本ピアジェ会|ピアジェ理論|幼児教育|創造的教育|能動的記憶|ぺたぺたシール|児童心理学

 博士が大変嫌っていたものは「見かけ」の教育です。例えば 100まで数えられても、「5 は 2 と 3 に分けられる。元に戻すと 5 になる。だから 2+3 = 5 である。」というように、本質的な考える力があるとは言えないのです。

 お母さんや先生がお手伝いして、どんなに上手にお絵かきが出来たとしても、子ども本来の能力ではないのです。 子ども自身が描いたものが、大人から見てどんなに下手に見えても、「本物」で、その積み重ねが能力になって能動的な思考を育てるのです。

ピアジェ理論は子育てのお母さんや、幼稚園の教師が共有できる世界です日本ピアジェ会|ピアジェ理論|幼児教育|創造的教育|能動的記憶|ぺたぺたシール|児童心理学

 博士のどの理論を見ても、その源である幼児の世界から始まります。特に 0歳から 7歳までの段階は哲学、数学、物理学、心理学、その他の世界では、ぽっかりと空洞化していた世界で、幼稚なものとして日の当たらない、 取り残されていた分野でした。博士によって始めて新生児からの知能の発達段階が明らかになって、その重要性が科学的に証明されたのです。

 この意味では子育て最中のお母さん、幼児教育者と共有できる世界であり最も理解し合うことができるのです。 博士は、子供世界を知らない人は不幸なことである、と言っています。なぜなら新生児の感動的な出産から、2週間で総ての知能の源を見た時の驚き、自発的な学習による知能の成長、真実の愛の尊厳や寛容、悲しみと喜び、 視点を変えて子供をみる、子供の人権などは子育てを通じて自然に両親が学習できる人生観です。 博士が来日した時、お母さんには次のような言葉を残しています。

「あなたたちの子供を愛し続けなさい。そして子供たちがありのままの姿で見てもらえるように、また、子供たちが自分自身で成長していく機会を与えて下さい。 そのためにはお母さんたちが子供達に自発的活動を十分に発揮できるように心がけてあげましょう。」

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